本番に強くなる   ーメンタルコーチが教えるプレッシャー克服法ー

 

 2月17日

 こんにちは。今回は、白石豊氏著の『本番に強くなるーメンタルコーチが教えるプレッシャー克服法ー』という本を紹介します。

 ここぞという一大局面、大舞台で、自分の実力を十分に発揮できないあなたに、是非読んでもらいたい一冊です。

この本を読めば、自分が本番に弱い理由がわかります。この本を読んで、新しい自分の扉を開きませんか?

 

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目次

第1章 実力発揮のメカニズム

第2章 プレッシャーとどう戦うか

第3章 実録「プレッシャーとどう戦うか」下柳剛投手の戦い

第4章 自信はつくものではなく、つけておくもの

第5章 集中力を、どうつけたらいいのか

第6章 ゾーン、あるいはフローというピークの状態

第7章「ありがとう」の心でタフになれる

 

 

第1章 実力発揮のメカニズム

 本番に強くなる=メンタルを強くすると考える人が多いのではないでしょうか。実際、メンタルトレーニングというのは、強いプレッシャーの中でも、一定の実力を十分に発揮できるようなタフな精神力を、合理的かつ計画的に向上させるための方法です。「技術や体力と同じように、精神力だってトレーニングすれば強くなるのはわかっているのですが、具体的に何をどうすれば良いのか」わからない人がほとんどだろう。そうして、「自分は本番に弱い人間だ」と思い込んでいる人々は沢山いるのではないでしょうか。

 

 例えば、仕事や勉強そしてスポーツなどの大きなプレッシャーがかかる場面において、それなりの結果を残すためには、技術や体力だけではなく、その基本となるたくさんの知識が必要です。もちろんそれを支える健康な体も必要です。しかし、それだけでは重要なプレゼンテーションやスピーチ、試験、面接などをうまくこなす事はできません。

 つまり、「やる気」「自信」「集中力」「冷静さ」などのメンタルスキルはどんな人でも備えておかなければならない、大切な心の資源なのです。

 

 ここで白石氏がメンタルトレーニングを行う際にチェックする8つのメンタルスキルチェックを紹介します。それぞれ10点満点で自己評価します。できればその理由も簡単に書いておくと良いです。

 

(1)意欲

(2)自信

(3)感情コントロール能力

(4)イメージ想起能力 視覚化

(5)集中力

(6)リラクゼーション

(7)コミニケーションスキル

(8)セルフコミュニケーションスキル

 

 この8つのセルフチェックを8つに分けた円の中で、レーダーチャートのように各領域を塗りつぶしていく。そうすれば、現在の自分の心の強さが一目瞭然となります。ちなみに「輪」は、丸くなければ回りません。

 

 例えば「意欲」と「自信」は最高得点の10点でも、「感情コントロール能力」と「セルフコミュニケーションスキル」が2点だったりすれば、「心の輪」としては、うまく回ってはくれません。

 こうして、メンタルスキルのチェックが終わったら、本番に際してスムーズに回る「心の輪」になるように、へこんでいる領域を高めるトレーニングをしていきます。

  以下「本番に強くなるため」ための具体的な方法を本書の一部分だけ紹介していきます。

 

第2章 プレッシャーとどう戦うか

 まず初めにプレッシャーとは何でしょうか。プレッシャーと言うのは精神的な10月のことを意味しています。確かに、これにうまく対処できないと、日ごろから培った実力を十分に発揮できないために、ミスや敗北など悔しい思いにつながることになってしまう。

 これらプレッシャーの原因には、試験や試合、舞台での演技や歌、大勢の前でのスピーチや重要な商談など、失敗が許されない局面にで出現します。そして多くの人々はこのプレッシャーを嫌がります。しかし、様々な各界のプロフェッショナルたちも、共通してプレッシャーがなくなるなどと言う事はほとんどないし、そして、レベルが上がれば上がるほど、プレッシャーもまた大きくなるというのが当然なのです。

 

 プレッシャーの克服法として専門家によって挙げられている事例がいくつか紹介されているのですが、その専門家たちか共通して述べていたのは、「苦しい時にも、あえて笑う」と言うことであり、これはすでに脳科学的にその効果を十分に説明できるというドイツの研究結果も存在する。

 

 では、「いざ本番と言う時にかかってくるプレッシャーをどう克服するか」。これは、すべての人が解決したい問題でしょう。これについて本書では、「スイッチが入る」タイミングが存在すると述べられています。「スイッチが入る」と言う意味は、いざと言う時に脳が集中できるようになるために、プレッシャーがあってもパフォーマンスが発揮できるということです。つまり、集中モードに切り替わると言う事なのですが、本来そうした切り替えは、前頭葉が行っているために意図的には難しいのです。

 しかし、各界のプロフェッショナルたちはこの集中モードに意図的にアクセスすることができると言う。それは「本番前の決まり事を作る」と言うことである。このルーティンワークと言うのは皆さんもよく聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

このように「本番前の決まり事」を日常的にできる以下のステップを紹介します。

 プレッシャーがかかってくると、私たちの心や体に様々な反応が出てくると言う事は皆さんもうおわかりだろう。足が震える、手足が冷たい、反対に頭がぽーっと暑い、筋肉硬く硬くなる、視野が狭くなる、心臓がドキドキする、唇が乾く、お腹が痛くなる、吐き気がするなどです。

 プレッシャーの克服法の第1次ステップは、こうした反応が自分の体に現れたら、まず、「おう、きたか」と言ってみてください。プレッシャーによって先程のような生理反応が起これば、大抵の人は「どうしよう」とうろたえてしまう。ところがそう言わずに、「おう、きたか」と言えば、それだけでプレッシャーを1歩突き放して、客観的に見ることができるようになるのです。そんな簡単なことで変われるものかと思うかもしれないですが、実はこの効果は抜群なのです。

 

 そして、プレッシャー克服法の第二段階としてぜひやってもらいたいのが、プレッシャーの正体を認め見極めるということです。わかりやすく言うと、明るくて正体がはっきりしていれば怖くもなんともありません。しかし、暗くてなんだかよくわからないと、怖くて仕方がなくなるのです。実際、何かしらで心の中を照らしてみると、「なんだ、こんなつまらないことで悩んでいたり、苦しんだりしていたのか」ということがわかってくるものです。

 事実プレッシャーには2つしかないということがわかっています。つまり、外から来るプレッシャーと、自分が家から生み出すプレッシャーの2つです。外から来るプレッシャーにはいろいろなものがありますまず環境であったり、その場の雰囲気、それから、天気や気温も施設のコンディションに影響を与えます。また、聴衆や観衆の存在も外的要因として私たちに様々なプレッシャーを与えてきます。

 また自分から作り出してしまう内側からのプレッシャーとしては、事に臨んで「勝ちたい」とか「うまくやりたい」とは誰もが思うだろう。しかし、その裏には、「負けたらどうしよう」とか「失敗したら格好悪い」とも思うものです。こうした成功への期待や失敗不安が入り混じって、内側からも私たちの心は揺さぶられるのです。

 このようにプレッシャーによる生理反応が感じられたら、それは外からか、それとも内側からなのか、あるいは両方からなのかと自問自答してみる。ステップ1以上に、客観的にプレッシャーを見ることができるようになる。

 

 そして、ここまできたら、まず外からのプレッシャーを処理してしまうことにしよう。プレッシャー克服法の第3ステップです。

 これまでに述べたような外的なプレッシャー因子はそのすべてを自分でコントロールすることはできない。つまり、自分でコントロールできないのなら、それは受け入れるしかないのです。こうした態度を身に付けるために筆者である白石氏は、よく、メンタルカウンセリングの生徒たちに、「心臓ドキドキさせているのが自分ではどうにもできないことだとわかったら、ジタバタせずに、『みんな一緒や』といつでもやるようにしなさい」と教えているそうだ。

 なんだそんなことかと言われるかもしれない。しかしちょっと周りを見ていただきたい。この、自分ではコントロールしようもない、外的プレッシャーに対して事あるごとに、ぶつぶつ文句を言っている人が成功しているのを、見たことがあるだろうか?その答えはあなたも知っているだろう。

 

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四つの感情レベル

 

 それでは今度は、自分が内側からかけてしまうプレッシャーに、対処する方法について述べることにしたい。まず初めに私たちの心の中でうごめいている感情を乱すいくつかの因子を紹介する。

大切な場面で人々の中に現れる感情には次の4つがあります。

 

1つ目 あきらめ

2つ目 怒り

3つ目 ビビリ

4つ目 挑戦 です。

 

 1つ目の「あきらめ」は、私たちが抱く感情としては最低のものです。例えば、選手があきらめの感情のレベルに入ると、まず目線が下がる。そして背中が丸まり、動作が明らかに鈍くなる。さらにはため息をつきながら、言い訳を口にするようになる。こうしたことを頭に入れて人の行動を観察すると、確かに心の有り様が見えてきます。

 

 2つ目の感情レベルは「怒り」です。これはテレビでスポーツ中継を見れば、しょっちゅう目にすることがあります。しかし、こうした怒りの感情が心を支配すると、体の中ではとても良くない生化学的反応が起こってしまう。「怒る」ことで交感神経が異常に興奮して、後でアドレナリンやノルアドレナリンが大量に分泌され、その結果、心拍数や血圧が急激に上がり、筋肉が硬くなって一定に疲れてしまうのです。「短期は損気」というのはこういうことでしょう。

 

 3つ目の感情レベルは「ビビリ」です。先程の「怒り」が高いネガティブエネルギーなのに対して、やってみようと言うポジティブなエネルギーが充満しすぎて過緊張状態になっているような場合を指します。外から見ると、非常に神経質室でせかせかした仕草が特徴的です。一生懸命やろうとしているので行動はとてもパワフルに見えます。しかし、例えば、ここ1番という場面で「ビビリ」の感情が心を支配すると、早く結果を出したいために、仕草がやたらと早くなってしまうのです。ただし「あきらめ」や「怒り」と違ってこの「ビビリ」と言う感情はそれほど悪いものではありません。確かに、このままでは結局、ミスや敗北につながってしまう。

 しかし、誰もがここを通り抜けなくては次の挑戦と言うレベルに到達することができません。つまり、「ビビる」ような体験を何度もして、それに慣れっこにならなくては、次に続く最高の状態には入っていけないと言うわけです

 

 そして4つ目の感情が、「挑戦」です。これまでの「あきらめ」「怒り」「ビビリ」の3つの感情は、そのエネルギーレベルや質は、それぞれ異なっていても、結果的には全て、敗北につながってしまいます。そういう意味では、この「挑戦」だけが成功や勝利につながるものです。そして人が一度、この感情レベルに入ると、それまではあれほど嫌がっていたプレッシャーをむしろ楽しいとさえ言えるようになります。チャレンジ状態に入ったスポーツ選手は、外から見ていても躍動感に溢れ輝いています。「楽しい」「笑顔」「リラックス」「集中」「冷静」「燃える」といったように、最高のプレイを見せた選手にその時のことを尋ねると彼らからは、決まってこのような言葉が返ってくる。

 

 このように感情がパフォーマンスに大きな影響及ぼすのであれば、それを良い方向へと導く手立てを講じなくてはなりません。

 それならば、仮にプレッシャーで硬くなったり不安で怖くなったとしても、それを外に見せるのはやめること。そして、うまくいっているときの自分をまず外側から徹底的に演じることが大切です。そして、感情をコントロールするために、まず、しぐさ、表情、姿勢、歩き方、目線、言葉といった外側の動作をコントロールせよと言うことです。

 

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自信はつくものではなく、つけておくもの

  

 誰でも「自信を持って話したり、行動ができれば、、、」と思っているのではないでしょうか。しかし実際には、本番に自信を持って望めないためにミスをしたり、負けたりする。そんなことになってしまうのは、実はほとんどの人が自信について誤った考えをしているからです。

 

それは、「自信大きさは過去の実績に比例する」と言う考え方です

 

 ある人によると「そんな考え方をしていては本当に勝負に勝てるものか」と述べている。試合に勝ちたいのであれば、それが終わって買ってから自信を持つと言うことではなくて、試合に臨んだ時に既に前もって自信を持っていかなければならないはずだと言うのです。

 例えば、「一流のボクサーほど、試合の何ヶ月も前からゴングが鳴るまでずっと怖がっているものです。怖いから練習をするのです。ところが三流のボクサーときたら、ゴングが鳴るまでは平気な顔していてろくに練習もしない。それが始まった途端に、ガタガタ震え始める。そんな感じでは一大場面で勝てっこないです。」恐怖心と言うのは火のようなもので、使い方によってはこれほど便利なものはないのですが、ちょっと間違えると、たちまち私たちを焼き尽くしてしまうのです。

 

  何度も何度も練習を繰り返すことで、「大丈夫、やれそうだ」というセルフイメージを作り上げる。自信が生まれる根底には、きちんとした根拠があり、その根拠を見いだすためには、自分を信じられるほどの努力が必要だということだ。その大きさこそが、自身の大きさと比例する。逆に言えば小さく凝り固まったセルフイメージを拡大し、「大丈夫。やれる」と思い込むことができれば、本番に先立って自信が持てると言うことです。

 

 そして、自信を身に付けるための目標設定を「今」始めよう。

 

 何度も繰り返しますが、本当の自信とは「これから自分がやろうとすることに対して、大丈夫、自分はうまくやりこなすことができる、と言う確かな感じが持てる事」です。こうした感覚を持つ良い方法が2つあるります。1つ目は適切で小さな行動目標を設定してそれを確実に達成していく方法。そして2つ目は、セルフイメージを直接改善する効果的な方法であるアファメーションを作り繰り返し読み続けると言うやり方です。ここでは1つ目の目標設定について述べていきます。アファメーションについては、ぜひ本書を手に取って読んでいただきたいです。

 

 きっと多くの人が口にする「もっと良くなりたい」とか「偉くなりたい」とう漠然とした目標がほとんどでしょう。漠然と目標考えると、ベストを尽くし方も曖昧になり、「一生懸命やっている気になっている」だけになってしまう。そうしていては、目標達成できないままで終わる。「天才とは、高みに上る階段を人に見せない人だ」と言う言葉があるように、凡人には到底手が届きそうもなく思える天才たちの所業も、実は細分化されたスモールステップを根気強く登っていった結果なのであり、ただ「その過程を人に見せないだけ」ということです。もちろんこうした天才ばかりではなく私たちでも、小さな成功体験を積み重ねることで、強固な実施を積み上げることができます。

 セルフイメージを改善し確かな自信を作るためにも適切な目標設定する技術が必要となります。高すぎて達成できない目標設定は自信喪失と不安を生み、力を失わせることにつながってしまいますそこで以下のような適切な目標設定のための10のステップを紹介していきます。

 

ステップ1  目標を正確に決める

ステップ2  いつまでにそれを達成したいか決める

ステップ3  その目標を達成できたときの自分にとっての価値を書く

ステップ4  なぜこの目標は現在達成できていないのか、どうすれば達成できるのかと自問自答する

ステップ5  ステップ4で抽出された問題点を書き出して、目標達成するための計画を立てる

ステップ6  その計画を実行するために必要な資源と目標達成後に得られる価値とが釣り合っているかどうかをチェックする

ステップ7  計画実行のためのスケジュールをカレンダーに書き込む

ステップ8  すぐに実施に取り掛かる

ステップ9  目標を達成する前に達成したときの自分へのご褒美を用意しておく

ステップ10  以上のステップが全て終了したら、この目標設定プロセスで書き出された内容を下にして目標の達成を成功させるために有効なアファメーションを書く

 

 このように、抽象的な目標を止めてらできるだけ具体的な目標立てるようにすることで、「今の自分」に何ができるか何が必要かを明確化することができるのです。

 

 

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まとめ

 

 本番、つまり試合や試験など肝心要の時に、日ごろ培った実力を100%発揮したいと、誰もが思うことでしょう。そのために、練習もするし体も鍛え健康にも留意する。しかし、それだけではなかなか思うように力を発揮することができません。技量や体と並んで、私たちには心と言うものがあり、それがどのように動いてくれるかで事の成否は大きく変わってしまうのです。「どうしたら心がうまく動いてくれるのか、という具体的なこの使い方や鍛え方について」ここでは、本書で紹介されている事例のごく1部をのみを紹介しています。もっと詳しく知りたい、学びたいと思う方がいらっしゃいましたら、是非本書を手に取ってみたください。マインドコントロールや呼吸法、姿勢や立ち方、集中状態の脳波など、ここでは述べられていない様々な「本番に強くなる」ための方法が学べますよ。

 

 いずれにせよ、本番に強くなるためには「メンタルコントロール」が最も重要ですそしてこのメンタルコントロールを行うのは自分自身です。自分に自信をつけるためには、たくさんの本を読んだり、たくさん練習したり、たくさん学んだり、たくさん経験を踏んだりすることだけではなく、「自分はできると自分を信じること」です。これが1番大切なことなのです。そのための具体的なメンタルトレーニング方法が本では述べられています。是非、ご一読してもらいたいです。

 

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

参考文献

白石豊 (2009年 株式会社筑摩書房

『本番に強くなるーメンタルコーチが教えるプレッシャー克服法ー』