2040年の未来予測

2月15日

こんにちは。

 今回は、成毛眞氏の『2040年の未来予測』という本を紹介します。

成毛眞氏は、元日本マイクロソフト社の社長であり、現在は、投資コンサルティング会社や書評サイトなどの代表を務めていらっしゃる方です。

 本書では、2040年には実現できているだろう、テクノロジーによる社会の変化、環境の変化、価値観の変化が述べられています。その過程にある、様々な犠牲や失われるものに、あなたが巻き込まれないために、その過程からあなたの可能性が開かれるように、必要なことが述べられています。

 これから起きる新しいテクノロジーの変革は、すでに今、その発芽が存在します。テクノロジーの過渡期である現在、様々な形でチャンスは足元に転がっています。そして、「今日」に、これから起こることの発芽が存在します。そんな今を見つめることで、20年後のあなたの未来が少しでも明るくなるように、本書が役に立つことを願っています。

 

 

 

目次

1. テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする

2. あなたの不幸に直結する未来の経済ー年金、税金、医療費

3. 衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつける

4. 天災は必ず起こる

 

 1. テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする

 事実、たった100年前から信じられないほど世界は変わっている。100年前の世界的な重要人物であったアインシュタインは、自身がノーベル賞を受賞した研究である「光電効果」が、100年後の世界でこんなにも応用されあっという間にテクノロジーが進化すると言って信じてもらえるだろうか。

 100年前ではフランスから日本まで40日間かかっていた船旅も100年後の世界では飛行機で12時間ほどになっている。またヨーロッパからわざわざ日本に来なくてもオンラインで講演できるし何なら公園を録画して後日見ることもできるとしたらどういう顔するだろうか。カメラもフィルムの現像など誰もしなくなっている。アインシュタイン来日を連日華々しく伝えた新聞は、現在の若者は、ほとんど読まなくなりつつあることも、受け入れてもらえないだろう。

 

そうこれらはたった100年前の話だ。

この100年間で全く信じられないほどテクノロジーは進化したのだ。

 

 しかし技術は突然現れるわけではない。アインシュタインの発見を現代に至るまで様々な技術者が応用し新しいものを作ったのだ。すでにある技術の改良や組み合わせで、登場することがほとんどだ。

 たかが20年前、2000年代初頭までは、自動運転は技術的に実現不可能とも言われていた。将棋でコンピューターが人間に勝つのも難しいと思われていた。だが、現実はどうだろうか。もし実現するとしても、ずっと先の事と思われていた技術が、実現している。しかもアインシュタインの時代と比べると加速度的に速くなっている。

 

 ここであなたの20年後を考えてみよう。

 窓の外を見渡せば、ドローンや空飛ぶ車が行き交う世界は、当たり前になっているはずだ。そこら中に監視カメラが張り巡らされ、至るところにセンサーが組み込まれ、あなたの行動ところが健康状態まで把握されているだろう。

 現在の時点で、多くの人は信じないかもしれない。しかし、20年後はスマートフォンのように誰もが当たり前に利用しているはずだ。そして新しいテクノロジーが出てきたときに懐疑的になるのが人間の性だが、恐れてばかりではいけない。

 そのためには、テクノロジーがどう世界を変えるのかを知っておかなければならない。テクノロジーに鈍感なのは大衆の証だ。テクノロジーの可能性を知り、そこにかけたものだけが他者から抜け出せるのだ。

 (チャプター1では、2040年までに出現するテクノロジーが詳しく述べられている。是非、本書を手に取って読んでもらいたい。)

 

 

2. あなたの不幸に直結する未来の経済ー年金、税金、医療費

 第2章では、経済を扱っている。2040年に果たして年金はいくらもらえるのか。税金はどれくらい払うのか医療費はどうなるのか。ここでは、現場をきちんと把握しながら未来に私たちが何をすべきか考えていきたい。

 

日本の財政は破綻する

 

 誰もが聞いたことがあるだろう。そのことについて心配している人をよく見かけるが財政破綻しようがしまいが、これからの日本がますます貧しくなるのは間違いないことを認識しなければならない。

 例えば、あなたが30代ならば昼寝800円のラーメンを食べ、夕飯に500円のコンビニ弁当食べることが10年前にもあったはずだ。変わらない光景がそこにあるわけだから、貧しくなってないと思う人もいるだろう。だが、これは裏を返せば、10年前から物価がほとんどわかっていないと言うことである。コロナ禍の前まで、海外から観光客が押し寄せていたが、あれは日本の観光キャンペーンがうまいわけでも、日本の自然が外国人の心をつかんでいるわけでもない。単純に自国でものを買うより日本で買う方が圧倒的に安いと感じているからだ。私たちが変わらない間に、他の国々は所得が増え、立地になり、自国での物価が上昇し、日本に行ってでも買い物したほうが得なのだ。つまり、日本は世界で見ると、安い国になったと言うことである。

 

 事実、日本の経済成長はほとんど見込めない。GDPの成長率も2030年以降はマイナス成長やほぼゼロとの予測が支配的です。これからの日本は食べるものに困るような悲劇的な状態にはならないだろうが、世界を見渡したときに、相対的にどんどん貧しくなるだろう。なぜなら少子高齢化が進み労働人口が減り、いくら生産現場の自動化やオフィス業務でAIの導入進めたところで、国全体の生産性の向上や経済成長には限界があるからだ。当然ながら、成長が望めない国の財政や社会保障の見通しは明るくない。

 

 働く人の数が増えないとなれば、所得税法人税が自然に増えることも期待しづらい。そんな中、体制を考えるなら現実的には歳入を増やすしかない。しかしこの歳入といって、まず考えられるのは消費税だろう。

 しかし、消費税だけで財源の確保は困難だ。消費税に踏み切らなければ社会保険料を引き上げるしかない。そもそも社会保険料はすでに上昇の一途だ。給与明細を見てみても、賃金上昇を上回るペースで社会保険料の負担が上昇している。10年前に比べて社会保険料の負担率は、一人当たり26%で増えているが賃金は3%しか伸びていない。

 

ここまで聞いて2040年の未来はお先真っ暗だと考えるだろう。

 では、来るべき未来のために、国民の懐を大きく痛めずに、私たち個人は何をすべきなのかそして国の歳入がどうすれば増えていくのかを述べていきたい。

 

 すべての問題は高齢者が増える事だ。これまで先の暗いような経済予測を述べてきた。しかし、多くの経済予測が見落としているのは、技術の進歩だ。

 医療や介護の暗い見通しも、あくまでも既存の技術の延長線上で数字を弾き出している。国全体の医療費や介護日を下げるためには、受信回数や量が質を下げるか、提供するサービスにかかるマンパワーを減らすしかない。前者はともかく後者はテクノロジーを使えば難しくはない。

 

 また「老後2000万円」問題が2019年に世間を騒がさの覚えている人も多いだろう。このことに対して老後に不安を抱いた人は多かっただろう。「老後には2000万円も必要なのか」と。しかし、これに対して大きな勘違いをしている。政府がまとめたレポートはあくまでも、「貯金額が2000万円程度あれば、年金と合わせて、月々55,000円程度の赤字が出ても、30年程度は無職でもやっていける」と指摘しているに過ぎない。また脂質を減らしたり、働く期間を延長したりすれば預金金額は2000万円もいらない。自宅があれば売却して、少し狭い家に引っ越してもいいかもしれない。

 

 若い人の中には「年金は、ほんとにもらえるのだろうか」と悲観している人もいるかもしれない。「年金をもらえないから、払わない」と考える人もいるだろう。こうした人たちに強調しておきたいのは、極論だが「年金がもらえない事は無い」と言うことだ。結論から述べると、現状の延長だともらえるだろう。ただ、厳しい角が待っているというのが正直なところだ。では我々が、今、年金を受給している高齢者と同じ額をもらうことは不可能だろうか。方法はある。それは、長く働き、年金をもらう期間を遅らせることだ。

 

 原稿では、年金受給を1ヶ月早めることに基準額が0.5%減らされる。例えば、70歳まで年金受給を繰り下げた場合1ヵ月ごとに0.7%ずつ増える。そのため65歳で受給開始の受給額の142%の水準を受け取ることができる。

 では具体的にどの程度遅らせれば良いのか。

 経済成長率が横ばいだと仮定すると、30歳の人は68歳4ヶ月、40歳の人なら67歳2ヶ月まで働いて保険料を納め同様に年金開始年齢を遅らせれば、今の65歳で年金受給が始まる高齢者と同水準をもらうことができる。

 

 つまり、年金はもらえる。だが、70歳近くまで働かなければならない。これが2040年の我々の年金のリアルだ。

 

3. 衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつける

 日本の人口が減少していく事は前章で指摘した。だが、世界規模では人口増加が続く。1950年に26億人だった世界の人口は2020年には78億人になったそして2040年には90億人に達するというシナリオが存在する。

 そこで問題となるのが食料だ。そんな中、注目されているのが「代替肉」だ。そのほか「培養肉」「遺伝子編集した食品」「昆虫食」というものも出てくるだろう。そして、これらに対して、多くの人々は、これらの食料に拒絶するだろう。

しかし、これらなような食品をテクノロジーで開発する分野(フードテックと呼ばれている)は、将来の世界において重要な役割を果たす。食文化は科学技術でした支えなければならない時代がすぐそこに来ているのだ。

 

そして次にシェアリングは巨大産業になるだろう。

 現代、ものを買わない人が増えている。これから、その結果はますます強まるだろう。「安かろう悪かろう」は過去の時代となり、安くて品質が良いものに溢れ、金をかけずに生活を楽しめるようになった。また金を使うことやものを持つことがステータスでなくなったと言う価値観の変化もある。インターネットへの常時接続が当たり前になり無料で楽しめる情報や動画音楽ゲームが触れているスマートフォン1つあれば金をかけなくても楽しめる環境が出来上がっている。

 そして、これからのシェアリングサービスでは、モノにとどまらず、スペースや移動手段、スキルなどもそうなるだろう。広いジャンルを赤の他人同士が売買したり貸したり借りたりすることができる。民泊や育児代行などもわかりやすい例だ。シェアリングエコノミーの市場規模は、2018年度の約2兆円から2030年には11兆円以上にまで広がる見解がある。これは、製薬業や電子部品製造と同程度の一大市場になるだろう。

 

やはりアフターコロナの世界で、シェアリング産業の存在は無視できない。

 

4. 天災は必ず起こる

 世界は今、環境破壊によるリスクがかつてないほど大きなものになっている。遠い未来のことだと思っている人もいるかもしれない。しかし2040年待つまでもなく今すでに起こっている。

 

 このまま何も対策をこうじなければ、今から2100年までに地球の平均気温は4度上昇する。これがどのくらい異常なことかと言うと、1880年から2012年までの世界の平均気温の上昇は1度にも満たない。気温が上昇すれば、海水の温度も上昇する。そうすると、ほぼ全てのサンゴ礁が白化、絶滅する。サンゴ礁には海洋生物の3割以上が生息すると言われており、結果的に数億人の人々の食糧事情が深刻なものとなるだろうなるだろう。

 海水の温度が上がれば、北極の海水や陸地にある評価を溶かし海面が上昇する。2030年頃には、海面が少なくとも15センチは上昇するとの試算もある。ちなみに最悪の場合、2100年には日本は熱帯化している。私の東京の昼間の気温は40度を超え、夜も30度をほとんど下回らない。米は取れなくなり、関東や近畿圏でバナナとパイナップルが栽培に適しているようになるだろう。また、温暖化は食料不足も呼び起こす。ただでさえ世界的な人口増加するにもかかわらず、水の枯渇は深刻化し、作物の収穫量が減る。こうなると、農作物の価格ももちろん上昇する。自給自足ができている国々でも、温暖化進めば自給自足が難しくなり、飢餓が蔓延する。飢餓が蔓延すると国々は食料を確保するため隣国に攻め込むかもしれない。

 

 これらは、突拍子もない話に聞こえるかもしれないが、日本があまりにも平和で現実感がないだけだ。このまま何も手を打たうたなければ、食糧不足は確実に来る未来だ。飢餓が蔓延し、戦乱に陥るのは、アフリカや南アジアでついこの間まで起きていた話である。

 

 また地球温暖化によって戦争が起こると指摘する人も多いだろう。

 確かに、資本主義先進国が繁栄したのは、植民地からの収奪であることに異論はないだろう。先進国同士は、植民地の資源をめぐって衝突した。戦争の理由は基本的には資源と富の収奪だ。1995年にある著名人が、発した警告がある。

 それは「20世紀の戦争が石油をめぐって戦われたとすれば、21世紀の戦争は水をめぐって戦われるだろう」というものだ。

 ちなみに、深刻な水不足に陥る地域は、パキスタンやインド中国だろうと予測されているそしてこれらの国々はいずれも核保有国だ。気候変動がもたらす不安や連鎖反応が最悪の展開になる事は広く知られている。

事実、気温と暴力の関係を数値化する研究によると、平均気温が0.5度上がるごとに武器衝突の危険性は10から20%高くなると言われている。

 

 これらのシナリオはあくまでも想定だとは言え、どのような対策を打とうが、2040年の世界が、明らかに現在より肌感覚で熱くなっているのは間違いないだろう。地球温暖化は、人口が増え、経済活動を続ける限り、回避は不可能だ。そして戦争と違って、世界の誰かによって適切な方針が決められ、あっさり回避することもない。あなたのあらゆる経済活動や消費活動が、地球温暖化の原因になっており、それが将来の物事のきっかけになりかねないことを、私たちは自覚すべきかもしれない。

 

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まとめ

 どうだろうか、これまであまり解決策を示さずワーストシナリオをひたすら示してきた。お先真っ暗な気持ちで不安ばかりが募ってしまった人もいるだろう。

 

 しかし、やはりこれらの問題を解決するのは、テクノロジーではないかと楽観的に考えている。その根拠を示せと言われれば難しい。100年前の人、は100年後には地震や噴火を完璧に予知できるようになると考えていたが実際はできていない。ただその一方で、なくなると言われていた石油は、枯渇していないし、核戦争も起きていない。公害が深刻化して住めないような場所でもない。危機に直面してもテクノロジーで解決の道筋を示してきたのが人類だ。それは本書を読めばわかる。地震も台風も温暖化も、これから20年先の未来には、今、あなたが必死に考えている光景とは違う景色が待っているだろう。

 

 日本について言うと、

 五流経済国家に落ちぶれる事はないが、高度経済成長期のような毎年の2けた成長は望めないだろう。地震や台風の被害は抑えることができても、リスクはゼロにはできない。つまりこんなの大きさわからないが、困難に直面するのは避けられない未来がまっている。

 

それでは、あなたはどうすれば良いのだろうか。

最後に1つだけアドバイスをしよう。

 

それは国を忘れることだ。

 

 日本国民であることを忘れろとか、国籍を変えろとかそういう話ではない。「あなたの力で国を変えよう」などと、間違ってもを思うなと言うことだ。この10年で国が変わっただろうか。政権が変わろうと、世界中を恐怖におとしいれた新型コロナウィルスですが、日本と言う国を大きく変える事は今のところつながっていない。

 

 今、これを読んでいるあなたは、国を忘れて、これからの時代をどうやって生き残るかをまず考えるべきだ。

 

どうすれば幸せな人生を送れるかという問いに全エネルギーを注ぐのおすすめする。

 

 生き残るためには、幸せになるためには、環境に順応しなければならない。生き残るのは優秀な人ではなく、環境に順応した人である事は歴史が証明している。環境に適応するには環境を知ることが不可欠だ。人間は想像力を超えた現実には太刀打ちできないつまり、最悪の事態を想定しながら未来を描いておけば、あなたの人生は、それより悪くはなる事は無いのだ。そして、そのシミュレーションができていれば、あなた個人に待ち受ける未来は、何も知らずにいたときの景色とは違ってくるはずだ。

 

 

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謝辞

  今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。あくまでも、本書は筆者の意見をまとめたもので、その中から、著者が心に残った部分を述べています。誤解を防ぐためにも、より理解を深めてもらうためにも、是非、本書を手に取ってもらえたら幸いです。閲覧ありがとうございました。

 

参考文献

 成毛眞 (2021年 日経BP社)『2040年の未来予測』