カイジ「命より重い!」お金の話

2020年12月22日

こんにちは。今回は、2013年に出版された木暮太一氏の『カイジ「命より重い!」お金の話』という本を紹介します。学校の図書館で気になったので手に取った本なのですが、自身の「お金」における考え方や、捉え方が大きく変わった一冊だったので、この場で紹介したいと思います。そして、この記事を読んでくださった皆さんがもっと深く知りたいと思ってくださったら、是非、手に取ってみてください。

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カイジ「命より重い!」お金の話

目次

第1章 給料が少ない・・・・?現実を見ろ!

第2章 金は、自分で守らなければならないのだ!

第3章 知らないやつは、勝負の前に負けている!

第4章 圧倒的勝利を呼ぶ、マネー志向を身に着けろ!

終章 お金に振り回されないために、本当に必要な力

 

第1章 給料が少ない・・・・?現実を見ろ!

  数年前からワーキングプアという言葉をよく聞くようになった。ワーキングプアとは、正社員、あるいは正社員と同じくフルタイムで働いていても生活維持が困難とされる"貧困層”のことである。このような人は給料が少ないから貧困になってしまうのだろうか?具体的にお給料という部分に焦点を当てよう。これまでの日本企業では、”必要経費方式"+”一生保証型”で決まっていた。これは社員が労働者として生き続けるための経費を会社がお給料として支払っているという状況だ。この必要経費には、社員だけではなく家族(扶養)が生きていくために必要な経費も含まれている。そのため、年齢が上の先輩社員は、お給料が高くなる、年功序列型が主流となっているのだ。

 つまり、逆を返すと、”生活費が少なく済む”と思われている仕事は給料が安くなる。学生時代、月のお給料が10万しかなくても、ワーキングプアではなかったはずだ。これは、学生としての様々な恩恵を受けていたからだろう。また、親と同居している人であっても、月10万の生活でワーキングプアになることは考え難い。

 本章で述べたいことは、お給料が少ないと感じること、お金足りない背景にあることの本質をとらえる必要性だ。「生活費が足りない」というとき、自分の生活を振り返ってみるのはどうだろうか?ストレス発散や、周囲とのかかわりが欲しくてお金を使いすぎてしまったり、様々な事情でお給料が減ったにもかかわらず、かつての生活レベルを維持したくてお金を使いすぎてしまっていたりしないだろうか? 厳しいことを言うようだが、これらのような目的で使うお金はもらっていないのだ。これら全てがだめだといっているのではなく、きちんと現実と向き合い、ワーキングプアにならないためには、ワーキングプアから抜け出すためには、何が必要で何が最優先なのか、今そして未来を見据えた、見通しをしっかりとたて、改善意識を持つことが大切なのだ。

 

第2章 金は、自分で守らなければならないのだ!

 第2章では利子、借金、クレジットカードの利用におけるお金の使い方の警告をしている。例えば、お金を借りる際、年利12%(1か月物)と1日0.1%の利子、あなただったらどちらを選びだろうか?ぱっと見た感じ0.1%/日の方が割安で借りやすいと感じるだろう。しかし、0.1%を年利で計算すると、0.1%×365=36.5%となり、法律でも禁止されているほどの高金利だとわかる。金融機関だけでなく、借金の返済、クレジットカードの分割払いにも同じように、様々な罠(手数料・利子)が存在していることを理解し、十分に注意を払って、本当に借りるべきなのか、借りなくて済む方法はないのか、今の自分が将来の自分の首を絞めないのか今一度検討してもらいたい。それでも、どうしても借りなければいけないのなら、まずは身内に頼るべきである。身内であれば借りる理由を必ず聞かれるだろう。その際に、口を継ぐってしまうようなら再検討、受け入れられるものなら、きっと身内は無利子で貸してくれるだろう。ここでもやはり言えることは、お金がないから金融機関に助けを求めるのではなく、自分自身に問い、そして自分をよく知る人に相談するということだ。

 

第3章 知らないやつは、勝負の前に負けている!

 この章では、ギャンブルや儲かる投資などの甘い誘惑への警戒をしている。事実、“うまい話”は経済学的に、あり得ないのだ。この主張には2つの根拠がある。1つ目は、利潤低下の法則というものが存在し、最終的にリスクとリターンは釣り合うと経済学的に証明されているからだ。 仮に“うまい話”があったとする。例えば、顧客のニーズや市場を射止めた確実にヒットする「商品A」があるとする。そんな話があれば多くの人々は、その商品を仕入れ、販売したいと思うだろう。その後その商品は大ヒットした。大成功した企業もいるだろう。しかし、その状況が続くことはない。「商品A」を販売している人が1人なら客はその1人に集まる。しかし、売っている人が2人、3人と増えれば、売り上げは三分の一になる。このように、一人当たりの売り上げ&利潤は減っていき、そして最終的には「それだったら他の商売やるのと変わらないなあ」という所までになり、利潤率低下の法則が成り立つ。このことから2つ目の理由には、うまい話は他者に教えないということが分かる。他者が参入すれば、利益を独占できないからだ。このように、“うまい話“や”誘惑“には裏があることを肝に銘じてほしい。実際に話を持ち出されたら「なぜ相手は、その話をあなたに持ってきたのか」という点を考えるべきだ。

「リターンが大きいのはリスクも大きいから」これが経済学の大鉄則なのだ。

 

第4章 圧倒的勝利を呼ぶ、マネー志向を身に着けろ!

 お金をうまく活用し、圧倒的勝利になるためのマネー思考として、「サンクコスト」「機会費用」という目に見えないコストに目を向ける必要性がある。「サンクコスト」とはもう支払ってしまって、どう頑張っても帰ってこない費用のことである。例えば、食べ放題や映画など、体験する前に支払い、満足でも満足でなくても同じだけかかる費用のことを指す。 「機会費用」は、他のことが出来なかったために、損した額である。例えば、1日の予定で、映画を見に行くか、バイトをするかという天秤にかけた際、映画の場合1000円の損失、バイトの場合5000円のプラスになる。もし仮に映画を選択したとすると、映画第1000円分の損失だけではなく、働いて稼ぐはずだった5000円を足した6000円の損失をしている。これが「機会費用」の考え方である。このようにコストは目に見えるものだけではない。これらの考え方をうまく活用しなければ知らず知らずのうちに時間とお金を失ってしまうことに筆者は警告している。

 

そして、次に著者が本書で感銘を受けた「経済学で考える“正しいお金の使い方”」を紹介する。(本当に読んでもらいたい部分である)

経済学では、1円当たりの満足感が高いものを買うがベストなお金の使い方とされている。例えば、著者はクラシックカーが大好きだ。中でもロールスロイスが一番魅力的だ。そんなロールスロイスを一千万円で購入するとする。そして購入した際の満足度を100点とする。しかしある日、ロールスロイスを貸し出しているレンタカー会社を見つける10万/日であった。レンタルした際の満足度を70点とする。そして、これらの満足度を値段で割ると、

購入=100÷10,000,000=0.00001

レンタル=70÷100,000=0.0007

つまり、レンタルしたほうが1円当たりの満足度が高いことが分かる。事実、購入することは夢のまた夢と思っていた著者にとってうれしい選択肢を獲得した。もちろん、すべての商品の満足度を厳密に点数で表すことは現実的に難しい。しかし、経済学で正しいとされている考え方を気に留めておけば、「一円の重み」を忘れることなくお金を大切に使うことができるだろう。

 

終章 お金に振り回されないために、本当に必要な力

 今このブログを読んでいる皆さん、突然ですが、老後の生活への不安はあるだろうか? 事実、今日の日本では、じつに20代~40代の85%の人が「将来に経済多岐な不安を感じている」そうだ。特に20代は将来への備えとして、せっせと貯金をしているらしい。ここで、またもや数字にして考えてみよう。毎月3万ずつ貯金を30年間続けても、最終的に手元にある金額は、たった1080万だ。60歳に退職するとして考えてみても、この金額では、将来の安心は得られないだろう。 ここで筆者は、「お金」ではなく「働き続ける能力」を若いころから貯めるべきだと主張している。 一般人にとって、多少お金があっても将来の不安は消えない。経済的な安心感を得るためには「将来も働き続けるだろう」と自分で思うことが必要なのだ。ここでいう「働き続ける能力」とは専門性を高めて、一生くいっぱぐれない能力ではなく、時代に適応して、どんな仕事をしてでも生きていけるという自信を身につけることなのである。つまり、筆者が考える、お金に振り回されないために必要な力とは、「変化を怖がらない力」だ。将来への不安をかき消すのは、どんな時代になっても対応でき、ずっと働いていくためには、「変化を求める」という選択肢が不可欠であり、これからの多様化する社会を生きていく術になだろう。

 

謝辞:今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。是非、実際に本を手に取ってもらい、もっと理解を深めてもらえたら光栄です。

参考文献:木暮太一(2013 株式会社サンマーク出版)『カイジ「命より重い!」お金の話』