【沖縄から貧困がなくならない本当の理由】
11月21日
こんにちは。
今回は、私が今一番関心がある沖縄の貧困問題について述べられた、
「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」という本を紹介します。
本書では、沖縄のリアルが鮮明に描かれていると感じました。もちろんこれは、沖縄だけに当てはまるものではないと思います。貧困層、シングルマザー率、早期結婚、離婚率など、多くの不名誉で全国首位に位置している沖縄の現状は、大学入学と同時に本土から移住してきた、Fラン大学生の私でさえも、身近に感じる問題だと感じました。
どうしてこのような、様々な「差」が一般市民の間で、拡大してしまったのか。拡大していくのか。その答えは、すべて「自尊心」にあります。皆さんも、この「自尊心」について、もう一度向き合い、よりよい未来を描いていきませんか?
生まれ育った環境だから仕方ない。どうせ自分にはできない。など、苦しい今の現状を受け入れ、変化を望まない人、あきらめている人。すべての原因は「自尊心」にあります。この「自尊心」について学んでみませんか?
きっとこの本は、あなたの新しい一歩を応援してくれると思います。
沖縄から貧困がなくならない本当の理由
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・本の構成
はじめに 沖縄は、見かけとはまったく違う社会である
第1章 「オリオン買収」は何を意味するのか
第2章 人間関係の経済
第3章 沖縄は貧困に支えられている
第4章 自分を愛せないウチナーンチュ
第5章 キャンドルサービス
おわりに これからの沖縄の生きる道
前説では、沖縄社会の現状を詳しく述べている。
貧困率「断トツ一位」という事実、県民所得では11年連続で最下位、賃金は全国の最低基準で、貧困率は全国平均の2倍、沖縄の突出した貧困社会であり、また、自殺率、重犯罪、DV、幼児虐待、いじめ、飲酒、不登校の問題は全国でも他の地域を圧倒しているというデータが存在する。このデータから貧困は沖縄にとって深刻な問題だということがわかる。
この本では、著者、樋口幸太郎(以下、樋口)は教育者としての立場から実際に直面した、このような貧困社会の中で生きる人々の「沖縄独自の文化」が育んだ目に見えない物事に対する価値観の存在を述べている。
本書では、沖縄から貧困がなくならない大きな3つの要因が挙げられている。
・沖縄企業への政府による優遇税制の存在
・人間関係で成り立つ沖縄経済
・自分を愛せない自尊心の低さ
【沖縄企業への政府による優遇税制の存在】
沖縄では本土ではシェア率1%にも満たないオリオンビールがトップシェアを占めている。観光・泡盛業界においても、沖縄の地元企業が大手会社を圧倒している。
この数字の背景には、政府による莫大な優遇税制によって生まれた利益額が含まれている。つまり、優遇政策に頼っているためにこのような利益率が存在するのだ。
政府の優遇税制によって育まれた、「変革する必要のない」「現状維持」で経営が成り立っている沖縄企業は、経営力、資金調達力、組織力すべてにおいて力不足なのである。この状況が続けば、いつか優遇税制が撤廃された際に、あっという間に業界大手企業につぶされてしまうだろう。
【人間関係で成り立つ沖縄経済】
沖縄県民は人間関係の社会の中で生きている、人間関係の良好な関係構築こそが沖縄社会で生きる最重要項目なのであることを大前提として述べておく。
沖縄経済の観点から見てみると、全国大手小売り店「イオン」が、沖縄地方小売店「サンエー」に利益の額で13倍もの差を付けられている事実があり、資本市場では、規模や商品力でまるで競争にならないはずの野村証券がおきぎん(沖縄銀行)証券や地場の金融機関に苦戦している。
これらの背景には、ただ質がいいからでも、価格が安いからでもなく「地元のものだから」「長年利用しているものだから」のという作用が大きく働いているだからなのだ。
つまり、慣れ親しんだものを無意識に優先的に選択してくれる沖縄県民は、沖縄企業が変革するための必要性をもたらさず、現状維持で成り立たせてしまう。そのため、利益率が伸び悩み、全国でも最低賃金しかはらえないのだ。
沖縄の人々は同調心が強い。NOといえない。人間関係の摩擦を避けるためだ。そのために、家族や友人知人が関わっているものを優先して利用する文化がある。もっと極端な話をすれば、プライベートの場合、長年友達として付き合っていた友人だとしても、飲みや遊びの誘いを、ほかのモノのために断れは、それは「裏切り」である。仕事面の場合、多くの人が出世を好まない。それは課長から部長ということだけではなく、非正規から正規雇用においても当てはまる。なぜなら、同レベルではなくなってしまうからだ。出世してしまえば、これまでの仲間であった関係性に上下関係が生まれてしまう。そうすれば、「同じもの」ではなくなり、「裏切り」とみなされ、これまでのような仲間ではいられなくなるからだ。
つまり、目に見えない人間関係という鎖で、現状のレベル、コミュニティから出ることができず、人と違うことができない、行ったとしても白い目を向けられてしまうのだ。
もっとわかりやすいのが「いじめ」だ。本土のいじめは多くの場合、できない者が被害者だ。しかし沖縄は違う。できるもの(出る杭)がいじめられるのだ。
沖縄社会は現状維持が鉄則で同調圧力が強く、出る杭の存在を許さない。この社会習慣は、人が個性を発揮しづらく、お互いが切磋琢磨できず、成長しようとする若者から挑戦と失敗の機会を奪ってしまう。
【自分を愛せない自尊心の低さ】
このような問題には根深い要因が存在する。
その要因を著者は「自尊心の低さ」=「自分を愛すことができないこと」と述べている。
自分を愛するから、仕事を大切にし、人生に意味を見つけることができ、何気ない日常に喜びを感じ、自分を生きる勇気が湧き、友人にやさしくでき、社会が大切に感じられる。
自分を愛する人だけが人を愛すことができる。人とのつながりを感じているから、自分の意にそぐわないことに対して率直にNOといえる。それで人間関係が変わっても仕方ないと覚悟している。彼らにはその勇気がある。高い自尊心を持つこと、つまり自分を愛することは、人を愛し、仕事を愛し、社会を愛するための必要条件であり、欠かせない心の力である。
自分を愛していなければ、情熱は生まれない、心が動かなけれな行動を起こせない。
経済格差の本質は、つまりは、自分を愛する心の格差なのだ。
問題は解明した。解決するのは一人一人の「ひとりの力」次第だ。
社会に属する一人一人が自分を愛し、他人を愛し、「人が自分を愛することの手助け」を行っていくことが、本当の貧困問題、様々な社会問題の解決につながっていく。
さいごに【Fラン大学生の経験談】
沖縄に進学して4年目、ようやく、この沖縄独自の文化かや価値観への疑問が理解できた気がした。以前、「人は変わらない」と断言されたことがある。自身には理解できなかった、なぜなら自身は沖縄での一人暮らし、1年間の海外留学を通して、自分自身は「変わった」し、周りも「変わった」と感じていたからだ。それでも、その子は、変わりたくても変われないといった。今ならわかる。あの子が泣いていた理由が、足掻いていた理由が。私たちの違いは、生まれ育った環境で植え付けられた自尊心の大きさだった。
参考文献 沖縄から貧困がなくならない本当の理由